辻幹雄　演奏旅行記

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9月22日～29日まで山口県7か所で辻幹雄さんの11弦ギターコンサート
を行いました。お引き受けくださったみなさまに心より感謝申し上げます。

太陽館
（2003年9月27日）

太陽館は豊北町滝部のある小さな公民館です。屋根が高く、木で作られているのでとても響きがよく、音が重なりすぎて講演や合奏に適さず地元では不評なのですが、ギターにはピッタリで辻さんのために作られたの！といっていいくらいの音響のすばらしい建物です。
いつものコンサートを手伝ってくださる木本幹男さん、詩子さん、藤永由紀子さんの手によって、竹や季節の花々（からすうり、すすき、ひがんばな等）を使った見事な舞台が作られました。
響きのいい建物でのすばらしい音楽を聴かれて、みなさんがとてもいいお顔をされて帰っていかれました。
“ALBORADA”を聴いたある高校生は、「体中に太陽を感じて熱くなった。体中の60兆の細胞が全部動き出したように思えた。二部は、アルボラーダ一曲でもよかった！いや、このコンサートはアルボラーダ一曲でもよかった！」と言った言葉が印象的でした。コンサートが終わって外に出ると、満天の星空、まるでコンサートの成功を祈ってくれているかのようでした。

常春寺
（2003年9月29日）

かねてからの辻さんのファンである平生町常春寺の吉原久美子さんがコンサートをしてくださいました。
辻さんを待っていたのは庭にある巨石でした。縁側にさげてあった風鈴もそのままコンサートに出演してもらうことにして巨石をバックにコンサートが始まりました。風鈴は出番を知っているかのように辻さんのギターに合わせて涼やかな音色を響かせていました。
コンサートの中でいつになく辻さんが“ALBORADA”の奏法や作曲されるときの心境についてお話されたのですが、コンサート後にギターの先生が聴きにこられていたことがわかって驚きました。
以前にもギターの製作について話された時にはギターを作っておられる方が聴きに来られていたということがありました。

共楽園
（2003年2月29日）

やはり辻さんのファンである木村美也子さんのご縁で周何市にある共楽園の皆さん（年長児から高校生まで）に辻さんの音楽を聴いていただく機会を得ました。
コンサートの初めに辻さんが「眠かったら眠っていいからね！」とおっしゃったのですが、魔法にかかったように小さいお子さんは眠っていってしまいました。大人の方でも辻さんの音楽は眠くなるといわれる方も多いのですが、魂の奥深いところにまで届く辻さんの音楽は人を眠りに誘うようです。辻さんの演奏に聴き入っていた生徒さんは、次の日、「あの曲がよかった」「この曲がよかった」という話に花が咲いたそうです。
事前に考えておられたプログラムは園生のみなさんを前にされると、すべて消え去り、次から次へ、予定されていない曲が飛び出し、6弦ギターの難曲「グラン・ホタ」まで演奏され、みなさんに喜んでいただきました。

抱きしめるという会話

子供の頃に
抱きしめられた記憶は
ひとのこころの奥のほうの
大切な場所にずっと残っていく

そうしてその記憶は
優しさや思いやりの大切さを
教えてくれたり
ひとりぼっちじゃないんだって思わせてくれたり
そこから先は行っちゃいけないよって
止めてくれたり
死んじゃいたいくらい切ないときに
支えてくれたりする

子どもをもっと抱きしめてあげてください
ちっちゃなこころはいつも手をのばしています

＜公共広告機構より＞

こどもでもおとなでも、ひとのこころはいつも誰かに“抱きしめられたい”と願っているのではないでしょうか。よく辻さんの音楽を聴いて「おかあさんのおなかの中にいるみたい」と言われることがありますが、辻さんの音楽は“ひとのこころを抱きしめる”という働きもしているのかもしれません。そうあって欲しいと願いながら、共楽園を後にしました。

ありがとうございました

今回コンサートを引き受けてくださったみなさま本当にありがとうございました。
どこの会場でも「心が洗われたような気がする」「自分自身を見つめることができた」という声をたくさんきくことができました。深い眠りに入る人、涙する人、感じ方はさまざまですが、一人一人の心に辻さんの音楽が届けられたことを確信しています。
また、辻さんの音楽を通して人と人がつながり始めていることも感じています。以前からの知り合いもより深いつき合いなったとおっしゃってくださいます。あの四半世紀にわたって行われた成田闘争を終結に結びつけたのは辻さんの音楽でした。成田で行われた奇跡が、ここ山口でも起きているのだという気がしてなりません。
すでに次のコンサートの申し込みも10ヶ所近くあります。またどこかでお目にかかれる日を楽しみにしています。
＜やまむらまりこ様より＞

本当によいコンサートをさせていただきました。おかげで、充実した心で旅を続けています。今回ご縁をいただいた人たちの幸せを心から祈っています。

＜辻幹雄＞